Cyber Threat Intelligence News

深刻化するサイバー空間における脅威への対抗手段として、国家の防衛のみならず民間においても必須のものとなったCyber Threat Intelligence(サイバー脅威インテリジェンス)を活用するために有益な情報を提供します。

Left-of-Launch サイバー攻撃による敵基地攻撃と弾道ミサイル発射妨害

2017年5月5日付の産経新聞にて、「自民党の安全保障調査会がサイバーセキュリティー小委員会を新設し、自衛隊による敵基地攻撃の一環としてのサイバー攻撃能力の保有に向けた検討を進めている。」と報じられました。

www.sankei.com

米国のサイバー攻撃による北朝鮮のミサイル発射妨害

なお、米国においてはすでに北朝鮮に対しサイバー攻撃を実施しており、それが北朝鮮のミサイル発射試験の結果に影響を及ぼしているというニュースが、複数の海外メディアにより報じられています。

それらニュースの大元となっている記事は、①「Trump Inherits a Secret Cyberwar Against North Korean Missiles(トランプは北朝鮮のミサイルに対する機密のサイバー攻撃を引き継いだ)」と題する2017年3月4日付(米国時間)のThe New York Timesの記事および、②「Foreign Office 'concerned' by N Korea missile test reports(外務省は北朝鮮のミサイル試験報告に憂慮している)」と題する2017年4月16日付(英国時間)のBBCによる記事の2つのようです。

①では、3年前にオバマ前米政権がペンタゴンに対し、北朝鮮のミサイル発射テストを妨害する指令を出したと報じられています。その後、北朝鮮のミサイルテストは失敗するようになり、米国が核兵器の脅威に晒されるのを数年遅らせたとのことです。また、トランプ大統領がペンタゴンサイバー攻撃の拡大を命令したことはありうるが、確証はないとも書かれています。

②では、1995年から1997年まで英国外務大臣を務めたSir Malcolm Rifkindによる、「米国がサイバー攻撃により、北朝鮮のミサイル発射を妨害していることはありうる」とするコメントが掲載されています。

北朝鮮によるミサイル発射が)失敗したのは、ミサイルの完成度が低いからではなく、米国のサイバー兵器 ーいくつかのミサイル発射試験を失敗させているー によるものであるという強い確信がある。 (抄訳)

 ただし、米国がサイバー攻撃により北朝鮮のミサイル発射試験を妨害しているとの主張に対しては、反対意見もあります。軍縮問題専門家のジェフリー・ルイスは、「北朝鮮によるミサイル発射実験の失敗率は必ずしも高くない」、「サイバー攻撃北朝鮮に決定的な打撃を与えていると信じる証拠は見当たらない」と主張しています。

www.newsweekjapan.jp

日本におけるサイバー攻撃能力保有への課題

前掲の産経新聞の記事では、日本がサイバー攻撃能力を保有し、北朝鮮の基地を攻撃したりミサイル発射を妨害したりする上では以下の3点が課題になると書かれています。

  1. 法整備
  2. 技術開発・人材育成
  3. インターネットに接続されていないネットワーク(北朝鮮ミサイル関連施設)への攻撃実施

このうち3点目のインターネットに接続されていないネットワーク(クローズドネットワーク)への攻撃については、インターネットに接続されているネットワークと比較して攻撃が困難であることは確かですが、不可能ではありません。クローズドネットワークへの攻撃手法について、以下の記事では事例と共に紹介されています。

jbpress.ismedia.jp

この記事で紹介されている手法は以下の7つです。

  1. ICTサプライチェーン攻撃
  2. スパイによる攻撃
  3. インサイダー攻撃の支援
  4. 電磁波攻撃
  5. レーザー攻撃
  6. GPSを通じた攻撃
  7. 水飲み場攻撃